決算ノート
3031東証BtoB卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」(EC事業)、企業間後払い決済「Paid」・売掛保証「URIHO」(フィナンシャル事業)

2027年4月期 第1四半期 決算サマリー

サマリー

BtoB卸サイト「スーパーデリバリー」と企業間決済「Paid」を手がけるラクーンホールディングス(連結)の2027年4月期第1四半期(2026年5〜7月)は、売上高が前年同期比13.9%増の17億76百万円、営業利益が11.9%増の3億03百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が投資有価証券売却益(52百万円)もあり31.4%増の2億26百万円だった。 プロモーション投資の引き上げで広告宣伝費が47.0%増えた。通期は営業利益6億円(△54.6%)と大幅な減益を予想しており、第1四半期の営業利益はすでに第2四半期累計予想(2億50百万円)を上回っている。

売上高

1,776百万円

+13.9%

調整後EBITDA

357百万円

+12.4%

営業利益

303百万円

+11.9%

経常利益

296百万円

+12.1%

親会社株主に帰属する四半期純利益

226百万円

+31.4%

EC事業のセグメント利益

283百万円

△1.6%

フィナンシャル事業のセグメント利益

153百万円

△15.4%

自己資本比率

21.3%

前期末21.6%

ハイライト

  • 売上高は17億76百万円(+13.9%)。会社は、既存サービスの成長を加速するためプロモーション投資等の水準を引き上げて顧客基盤を拡大し、顧客単価も上昇したと説明する。前年同期の成長率(+2.3%)は、2024年10月に譲渡した株式会社ラクーンレント(家賃保証事業)の売上が比較対象に含まれていたため抑制されており、実質ベースでは+9.7%だったが、今期はこれを上回り加速した。売上原価は2億86百万円(△0.4%)とほぼ横ばいで、売上総利益は14億90百万円(+17.2%)、売上総利益率は83.9%(前年同期81.6%)に上がった
  • 販管費は11億87百万円(+18.6%)に増え、営業利益は3億03百万円(+11.9%)、営業利益率は17.1%(前年同期17.4%)、調整後EBITDAは3億57百万円(+12.4%)。広告宣伝費は+47.0%、人件費は+3.2%、その他費用は+20.0%。今期から、開発生産性の向上を目的に、ホールディングスに所属していた各事業担当のエンジニア・デザイナーを事業子会社へ異動した。この異動で、EC・フィナンシャル両セグメントの人件費は増え、両セグメントの利益は減少したが、グループ内の費用計上先の変更であり、ホールディングスの全社費用が同額減るため、連結の人件費・営業利益には影響しない(会社説明)。全社費用等の調整額は△1億33百万円(前年同期△1億97百万円)
  • EC事業は売上高10億55百万円(+14.4%)、セグメント利益2億83百万円(△1.6%)。主力「スーパーデリバリー」の流通額は85億43百万円(+17.6%)で、国内は購入客数(新規・リピートとも)と、顧客リレーション強化策による大口顧客層の拡大による客単価の上昇で+19.7%、海外は関税等の影響で前年割れが続いていた購入客数がプラスに転換し+11.7%。広告宣伝費・販売促進費は+47.6%、エンジニア・デザイナー異動でセグメント人件費は+38.8%、その他費用は△31.8%、販管費は+25.5%。フィナンシャル事業は売上高8億18百万円(+13.3%、セグメント間取引を含む)、セグメント利益1億53百万円(△15.4%)。「Paid」の取扱高はグループ外124億61百万円(+13.5%)、グループ内37億44百万円を含む全体で162億05百万円(+13.5%)、「URIHO」の保証残高は803億19百万円(前期末比+5.1%)。売上原価率は与信審査の適切な管理で低水準を維持。広告宣伝費は+45.1%、人件費は+51.9%(異動の影響)、販管費は+38.7%
  • 営業外収益は2百万円、営業外費用は9百万円(投資事業組合運用損5百万円、支払利息3百万円)で、経常利益は2億96百万円(+12.1%)。特別利益として投資有価証券売却益52百万円を計上し、税金等調整前四半期純利益は3億48百万円(前年同期2億64百万円、+32.1%)。法人税等は1億22百万円(負担率35.0%、前年同期34.6%、当社試算)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億26百万円(+31.4%)、1株当たり四半期純利益は11.70円(同8.49円)。特別利益を除くと、税引前利益は約2億96百万円(+約12%、当社試算)で、純利益の伸び(約+54百万円)の過半は特別利益による(税引後で約34百万円、当社試算)。四半期包括利益は1億49百万円(△13.2%)で、その他有価証券評価差額金が△76百万円
  • 財政状態は、総資産188億13百万円(前期末比△5億66百万円)、純資産42億14百万円(同△1億62百万円)、自己資本比率21.3%(前期末21.6%)。売掛金が△2億69百万円(104億27百万円)、前払費用が△1億86百万円(2億49百万円)、貸倒引当金が3億62百万円(前期末3億22百万円)。負債は145億98百万円(同△4億04百万円)で、買掛金が△3億19百万円(105億96百万円)、未払法人税等が△1億09百万円。売掛金(決済サービスの売掛債権)と買掛金(加盟店への支払い)が総資産の約55%・約56%を占め、規模が同水準(当社試算)。有利子負債は転換社債型新株予約権付社債20億円と借入金8億70百万円の計約28億70百万円で、現金及び預金(52億07百万円)が約23億円上回る(同)。純資産は、純利益+2億26百万円、配当△3億27百万円で利益剰余金が△1億01百万円、その他有価証券評価差額金が△76百万円
  • キャッシュ・フローは、営業活動が4億27百万円の収入(前年同期2億14百万円の支出)で、税引前利益3億48百万円、売上債権の減少+2億69百万円、前払費用の減少+1億86百万円に対し、仕入債務の減少△3億19百万円、法人税等の支払い△2億06百万円。投資活動は1億66百万円の支出で、投資有価証券の取得△2億10百万円、無形固定資産(ソフトウェア開発等)の取得△45百万円、投資有価証券の売却+78百万円、投資事業組合からの分配+12百万円。財務活動は3億32百万円の支出で、配当△3億27百万円。現金及び現金同等物は51億65百万円(前期末52億36百万円)。配当は、2026年4月期が中間11円・期末16円の年27円で、2027年4月期は中間11円・期末11円の年22円を予想する(修正なし)
  • 会社は「ラクーンBtoBネットワーク構想」(各サービスの顧客をグループ共通顧客と捉え直し、グループ全体で顧客ニーズに応える)を長期ビジョンとし、自社・提携企業の両輪でサービスを展開する。中期経営計画(2027年4月期〜2029年4月期)は、既存サービスの成長加速と並行して、積極的なM&A・アライアンスで成長の柱となる新規サービスを創出することを掲げる。調整後EBITDAは、営業利益に減価償却費・のれん償却費・M&A関連一時費用・株式報酬関連費用・ESOP関連費用・株主優待関連費用を加えた指標
  • 【要確認】通期予想は変更なし(「概ね予定通りに推移」)。第2四半期(累計)は売上高3,450百万円(+10.1%)、調整後EBITDA430百万円(△39.5%)、営業利益250百万円(△56.5%)、経常利益240百万円(△53.8%)、純利益180百万円(△44.2%)、1株当たり9.28円。通期は売上高7,500百万円(+14.1%)、調整後EBITDA1,050百万円(△34.1%)、営業利益600百万円(△54.6%)、経常利益550百万円(△55.6%)、純利益300百万円(△62.7%)、1株当たり15.47円。第1四半期の営業利益3億03百万円は、第2四半期累計予想の121%、通期予想の50.5%、純利益2億26百万円は、同126%、通期予想の75.6%に達している。予想どおりなら、第2〜第4四半期の営業利益は合計約3億円(前期の同期間は増減率から逆算して約10億円、△約72%、当社試算)と、9か月でほぼ損益が均衡する計算になる。大幅減益の理由(M&A関連費用、プロモーション・開発投資の増加、株式報酬等)は短信に記載がない。配当は通期純利益予想300百万円に対し年22円(1株当たり予想15.47円)で、配当性向(予想)は約142%(当社試算)

財政状態

総資産

18,813百万円

純資産

4,214百万円

自己資本比率

21.3%

現金及び現金同等物

5,165百万円

次期業績予想

決算期売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する中間純利益親会社株主に帰属する当期純利益
2027年4月期 第2四半期(累計)予想(変更なし)3,450百万円(進捗51.5%)+10.1%250百万円(進捗121.3%)△56.5%240百万円(進捗123.3%)△53.8%180百万円(進捗126.0%)△44.2%—
2027年4月期 通期予想(変更なし)7,500百万円(進捗23.7%)+14.1%600百万円(進捗50.5%)△54.6%550百万円(進捗53.8%)△55.6%—300百万円(進捗75.6%)△62.7%

注目ポイント

第1四半期は増収増益だが、会社は通期で営業利益が半分以下(△54.6%)になる予想を出している。第1四半期の営業利益3億03百万円は、すでに第2四半期累計予想(2億50百万円)を上回り、通期予想(6億円)の半分に達する。予想どおりなら、残り9か月の営業利益は合計約3億円と、ほぼ損益均衡になる計算で、第1四半期の好調が続くという前提とは大きく食い違う。

短信は「概ね予定通りに推移」としか書いておらず、大幅減益の理由は分からない。広告宣伝費は第1四半期時点でも+47.0%と増えているが、それでも営業利益は+11.9%で、下期にさらに大規模な費用(M&A関連、開発投資など)を見込んでいる可能性がある。会社が中期経営計画で「積極的なM&A・アライアンス」を掲げている点も含め、確認したい。

もう一点、配当は通期純利益予想300百万円に対し年22円(配当性向は約142%)を予想している。財務は、現金が有利子負債を約23億円上回り、自己資本比率は21.3%で、後払い決済事業の規模(売掛金・買掛金がそれぞれ100億円超)が資産を大きくしている。

出典:株式会社ラクーンホールディングス「2027年4月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月31日開示)

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