2026年4月期 第3四半期 決算サマリー
サマリー
ISP・MVNO向け事業支援や集合住宅向けインターネットを手がけるフリービット(連結)の2026年4月期第3四半期累計(2025年5月〜2026年1月)は、売上高が前年同期比13.9%増の461億88百万円、営業利益が9.0%増の51億10百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が30.7%増の33億03百万円だった。 MVNO向け事業支援と集合住宅向けインターネットが牽引した。会社は2026年6月18日に通期の売上高・営業利益予想を上方修正したが、株式会社CountUpの株式取得を巡る特別調査委員会の調査が続いて2026年4月期の決算発表を延期しており(2026年8月31日には2027年4月期第1四半期の決算短信の開示も遅れると公表)、経常利益・純利益の予想は当初のまま据え置いた。
売上高
46,188百万円
+13.9%営業利益
5,110百万円
+9.0%経常利益
4,893百万円
+5.5%親会社株主に帰属する四半期純利益
3,303百万円
+30.7%5Gインフラ支援事業のセグメント利益
1,467百万円
+39.0%5G生活様式支援事業のセグメント利益
3,026百万円
+13.3%企業・クリエイター5G DX支援事業のセグメント利益
619百万円
△36.5%自己資本比率
22.9%
前期末16.0%ハイライト
- 売上高は461億88百万円(+13.9%)、売上総利益は123億61百万円(+4.5%)で、売上総利益率は26.8%(前年同期29.2%)に低下した。販管費は72億50百万円(+1.6%)にとどまり、営業利益は51億10百万円(+9.0%)、営業利益率は11.1%(同11.6%、当社試算)。増収の大半は売上原価の増加に吸収され、粗利率は約2.4ポイント下がった。会社は、固定回線でインターネット利用量の増加に伴うネットワーク原価の高止まりを課題とし、法人向けの高付加価値サービスやMVNO支援の高度化で収益性の改善を進めると説明する
- 5Gインフラ支援事業(ISP・MVNO・法人向けクラウド)は、MVNE(MVNO事業支援)サービスの規模拡大で売上高88億32百万円(+12.7%、セグメント間取引を含む)、セグメント利益14億67百万円(+39.0%)。5G生活様式支援事業は、集合住宅向けインターネット「5G Homestyle」が牽引し、売上高210億14百万円(+9.6%)、セグメント利益30億26百万円(+13.3%)。子会社ギガプライズの提供戸数は前期末134.2万戸から9.0万戸増え143.3万戸となった。防犯・監視クラウドカメラなどセキュリティ関連サービスの拡充や、モバイル「TONE IN」戦略も進める
- 企業・クリエイター5G DX支援事業(フルスピード、フォーイット中心)は、アフィリエイト事業の取引規模拡大で売上高180億54百万円(+17.4%)だったが、セグメント利益は6億19百万円(△36.5%)に減り、利益率は3.4%(前年同期6.3%、当社試算)に低下した。会社は、成長を企図したアフィリエイト事業の拡販に伴う費用と、海外事業基盤構築への先行投資を挙げる。クリエイターエコノミー向けの「StandAlone」プラットフォームにも先行投資を続ける。セグメント利益の合計(50億98百万円)の約59%を生活様式支援事業が占める(当社試算)
- 営業外収益は89百万円(前年同期1億53百万円)で、前年同期にあった投資有価証券売却益1億08百万円は今期なし。営業外費用は3億06百万円(同2億04百万円)で、支払利息が1億69百万円(同69百万円、約2.5倍)。経常利益は48億93百万円(+5.5%)と、営業利益の伸びより小さい。特別利益は5億10百万円(投資事業組合清算益4億67百万円、関係会社株式売却益43百万円)、特別損失は3億14百万円(減損損失2億98百万円、固定資産除売却損15百万円)。減損損失の対象資産は短信に記載がない(【要確認】)
- 税金等調整前四半期純利益は50億89百万円(前年同期46億32百万円)、法人税等は16億45百万円(負担率32.3%、前年同期28.5%、当社試算)、四半期純利益は34億43百万円(+4.0%、当社試算)。非支配株主に帰属する四半期純利益は1億40百万円(前年同期7億83百万円)に減り、親会社株主に帰属する四半期純利益は33億03百万円(+30.7%)となった。四半期純利益の伸び(+4.0%)と親会社株主帰属分の伸び(+30.7%)の差は、非支配株主に帰属する利益が約6億43百万円減ったことによる(当社試算)。会社はソフトバンクとの資本業務提携とギガプライズの100%子会社化(議決権)を最大のレバレッジとする方針。1株当たり四半期純利益は151.53円(同125.78円)、四半期包括利益は31億16百万円(△5.2%)
- 財政状態は、総資産386億36百万円(前期末比△19億22百万円)、純資産110億79百万円(同+25億42百万円)、自己資本比率22.9%(前期末16.0%)。現金及び預金が△19億93百万円(186億84百万円)、売掛金及び契約資産が+5億54百万円(92億69百万円)、のれんが+4億48百万円(5億39百万円、増加の要因は短信に記載がない)。ギガプライズの長期貸付金14億96百万円は債権売却で減り、同額計上済みの貸倒引当金(固定)も減ったため、総資産・損益への影響はない。負債は275億56百万円(同△44億65百万円)で、長期借入金が△37億07百万円(114億50百万円)、未払金が△7億92百万円。借入金の合計は約170億円(前期末約209億円、当社試算)で、現金及び預金が約17億円上回る(同)。純資産は利益剰余金が+26億50百万円、その他有価証券評価差額金が△3億18百万円
- 中期経営計画『SiLK VISION 2027』(2025年4月期〜2027年4月期)は2年目で、最終年度の目標は売上高630億〜700億円、営業利益80億円、当期は売上高+8.9%(年平均成長率7〜10%の範囲)を目標とする。web3・Trusted Web・非中央集権型ID(DID)・独自のレイヤ1ブロックチェーン、基盤技術「Portfolia」を軸に「通信生まれのweb3実装企業」への転換を掲げる。配当は期末41円の年41円予想(前期30円、第2四半期末は無配)で、配当性向(予想)は約25.5%(当社試算)
- 【要確認】この短信(2026年3月13日)時点の通期予想は、売上高60,000百万円(+8.9%)、営業利益6,100百万円(+3.7%)、経常利益5,770百万円(+10.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益3,500百万円(+27.3%)、1株当たり160.54円で、第3四半期累計の進捗は売上高77.0%、営業利益83.8%、経常利益84.8%、純利益94.4%。その後、2026年5月21日に「特別調査委員会の設置」を公表し、6月12日に2026年4月期決算発表の延期を公表した。特別調査委員会は、2025年9月29日発表の株式会社CountUpの株式取得に関連する事項の妥当性と、当社の意思決定プロセスの適切性を検証する目的で、外部の独立した有識者により構成される(2026年8月31日付の開示による)。2026年7月31日には、有価証券報告書の提出期限を2026年10月30日まで延長する承認を受けた。2026年8月31日の「2027年4月期第1四半期決算短信の開示が四半期末後45日を超えることに関するお知らせ」では、調査が継続中で、調査結果の受領後に必要な有価証券報告書の提出手続きや監査手続きと同様の作業が第1四半期にも生じるため、第1四半期短信の開示を延期するとした。2026年4月期の決算発表日・有価証券報告書の提出日・2027年4月期第1四半期短信の開示日は、いずれも未定。2026年6月18日の「通期業績予想の修正」では、売上高62,500百万円(+2,500百万円、+4.2%、前期比+13.5%)、営業利益6,650百万円(+550百万円、+9.0%、前期比+13.0%)に引き上げた(前期実績は売上55,073百万円、営業利益5,883百万円)。5G・MVNO・集合住宅向けの伸びと、グループ一体運営による販管費率の改善を理由に挙げる。一方、経常利益・純利益は「調査・監査の結果により変動する可能性がある」として、当初予想(経常5,770百万円、純利益3,500百万円、1株当たり160.54円)のまま据え置いた。営業利益を引き上げたのに経常利益を据え置いたため、修正後の営業利益(6,650百万円)と経常利益(5,770百万円)の差は約8億80百万円となり、累計の差(約2億18百万円)から、第4四半期に約6億円台の営業外損失が生じる計算になるが、内容は資料に記載がない(当社試算)。売上・営業利益の修正は概算の見通しで、調査と監査の結果により変わる可能性がある
財政状態
総資産
38,636百万円
純資産
11,079百万円
自己資本比率
22.9%
現金及び預金
18,684百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | 経常利益(据え置き) | 親会社株主に帰属する当期純利益(据え置き) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年4月期 通期予想(2025年6月13日公表・修正前) | 60,000百万円(進捗77.0%)+8.9% | 6,100百万円(進捗83.8%)+3.7% | 5,770百万円(進捗84.8%)+10.3% | 3,500百万円(進捗94.4%)+27.3% | — | — |
| 2026年4月期 通期予想(2026年6月18日修正後) | 62,500百万円(進捗73.9%)+13.5%(前期比、当社試算) | 6,650百万円(進捗76.9%)+13.0%(前期比、当社試算) | — | — | 5,770百万円(進捗84.8%)+10.3% | 3,500百万円(進捗94.4%)+27.3% |
注目ポイント
増収増益だが、利益の中身と会社の状況には注意点が多い。売上は+13.9%と伸びたが、売上総利益率は29.2%から26.8%に下がり、営業利益は+9.0%にとどまった。純利益が+30.7%と大きく伸びたのは、親会社株主に帰属しない部分(非支配株主分)が約6億円減ったことが大きい。四半期純利益そのものは+4.0%の伸びである(当社試算)。
セグメント別では、MVNO支援(利益+39.0%)と集合住宅向けインターネット(利益+13.3%)が稼ぎ頭で、企業・クリエイター向けは、アフィリエイトの拡販費用と海外への先行投資で利益が△36.5%に減った。財務は、借入金を約39億円返済して自己資本比率が16.0%から22.9%に改善したが、まだ低い水準にある。
最も重要なのは、この後の動きである。会社は2026年5月に、2025年9月29日発表の株式会社CountUpの株式取得の妥当性と意思決定プロセスの適切性を検証する特別調査委員会を設置し、4月期の決算発表を延期した。有価証券報告書の提出期限は2026年10月30日まで延長され、8月31日には2027年4月期第1四半期の決算短信も、四半期末後45日を超えて開示が遅れると公表している(決算発表・有価証券報告書の提出・第1四半期短信の日程はいずれも未定)。6月18日の予想修正では売上・営業利益を引き上げたものの、経常利益・純利益は「調査の結果で変わりうる」として据え置いた。調査の結論と、4月期の確定決算(数値が変わるか)は、この時点では分からない。調査結果の公表と、確定した決算を確認したい。