2027年3月期 第1四半期 決算サマリー
サマリー
データ連携ソフト「ASTERIA Warp」などを手がけるアステリア(連結、IFRS)の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、サブスクリプション売上の伸びで売上収益が前年同期比7.0%増の8億24百万円となった。投資事業で保有するSpaceX社株式の一部売却益と評価益を計上し、営業利益は同7.9倍の24億51百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同7.4倍の17億33百万円と大幅な増益。同日、通期の営業利益予想を10億円から15億円に上方修正したが、第1四半期の営業利益はすでにそれを上回っている。
売上収益
824百万円
+7.0%営業利益
2,451百万円
+688.3%税引前利益
2,446百万円
+857.2%親会社の所有者に帰属する四半期利益
1,733百万円
+640.6%投資事業 評価額の増減及び売却損益
2,453百万円
前年同期165百万円親会社所有者帰属持分比率
72.2%
前期末73.6%ハイライト
- 売上収益は824百万円(前年同期比+7.0%)、売上総利益は696百万円(売上総利益率84.5%、前年同期87.5%=当社試算)。販管費は702百万円(+26.7%、当社試算)に増えた。その他の収益が2,457百万円(前年同期191百万円)に膨らみ、営業利益は2,451百万円(+688.3%)。法人所得税費用491百万円、非支配持分に帰属する利益221百万円を差し引き、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,733百万円(+640.6%)、基本的1株当たり102.04円
- 投資事業セグメントの評価額の増減及び売却損益は2,453百万円(前年同期165百万円)。子会社Asteria AI & Robotics Inc.が保有するSpaceX社株式の一部売却益と評価益が中心で、決算説明資料では投資有価証券売却益が約4億円(6月9日開示)、評価益が約20億円(8月10日開示)としている。投資はファンドAsteria Vision Fund Ⅰを通じ「4D」(Data・Device・Decentralized・Design)領域に行っている
- ソフトウェア事業セグメントは売上収益824百万円(+7.0%)。サブスクリプションとサポートを合わせた月額課金型のストック売上の構成比が8割を超えた。主力のデータ連携ツール「ASTERIA Warp」は新たなデータ連携需要や基幹システムとの連携ニーズが堅調。業務アプリ基盤「Platio」は製造業・建設業で拡販し、デジタルコンテンツ基盤「Handbook X」は鉄道業界などで受注が拡大。6月にAIネイティブ業務プラットフォーム「Bakusoku.AI」を発表した
- 決算説明会資料によると、8月13日にAI & Robotics分野に特化した新ファンド(ファンド規模1,000万ドル、約16億円)をペガサスと組成し、第1号の出資先としてヒューマノイドロボットの米Figure AI社に100万ドルを出資した
- 財政状態は、資産合計13,102百万円(前期末比+2,507百万円、その他の金融資産+1,869百万円など)、資本合計9,847百万円、親会社所有者帰属持分比率72.2%(前期末73.6%)。負債は繰延税金負債の増加397百万円などで3,255百万円(+610百万円)
- 【修正】8月14日に通期予想を修正し、営業利益を1,000百万円から1,500百万円(前期比+46.4%)に引き上げた。売上収益は3,700百万円(+9.2%)で変更なし。第1四半期の進捗は売上収益22.3%、営業利益163.4%(当社試算)
- 【要確認】第1四半期の営業利益(2,451百万円)が上方修正後の通期予想(1,500百万円)をすでに上回っており、予想どおりなら第2〜第4四半期で約951百万円の営業損失となる計算(当社試算)。投資先の評価額の変動をどう見込んでいるかなど、予想の前提は短信本文からは読み取れない(修正の詳細は同日公表の「業績予想の修正(営業利益の上方修正)に関するお知らせ」に記載、今回未入手)
- 配当は期末10円(前期9円)の予想で修正なし。決算説明会(機関投資家・個人投資家向け)を実施
財政状態
資産合計
13,102百万円
資本合計
9,847百万円
親会社所有者帰属持分比率
72.2%
次期業績予想
| 決算期 | 売上収益 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 2027年3月期 通期予想(8月14日上方修正) | 3,700百万円(進捗22.3%)+9.2% | 1,500百万円(進捗163.4%)+46.4% |
注目ポイント
利益が一気に膨らんだのは、投資事業で保有するSpaceX社株式の売却益と評価益、合わせて約24億円によるもので、本業のソフトウェアとは別の要因である。本業のソフトウェア事業は売上が7%伸び、月額課金型のストック売上が8割を超えるなど安定性が高まっているが、販管費の増加で利益面の伸びは限られた。
会社は同日、通期の営業利益予想を15億円に上方修正したが、第1四半期だけで営業利益は24億円を超えている。予想どおりなら残り3四半期で約9.5億円の営業赤字になる計算で、投資先の評価額が今後下がる可能性を織り込んだ保守的な予想なのかは、短信の本文からは分からない。
IFRSを適用する同社では、投資先の評価額の変動がそのまま営業利益に反映される。SpaceX株のような値動きの大きい資産を抱える以上、今後も四半期ごとの利益は大きく振れうる。本業のAI関連の新製品がどこまで売上を伸ばせるかと、投資損益を分けて見る必要がある。