2026年7月期 決算サマリー
サマリー
転職サイト「ビズリーチ」(BizReach)と人財活用プラットフォーム「HRMOS」を展開するビジョナルの2026年7月期は、BizReach事業が牽引し、 売上高が前期比23.9%増の993億円、営業利益が同14.6%増の245億63百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.4%増の185億66百万円と2桁の増収増益。 Thinkings株式会社の買収(取得対価約140億円)でのれんが約83億円増え、HRMOS事業は売上が78.2%増と急伸した。 一方、新規事業のIncubationセグメントは24億円の営業損失で、来期は売上高+20.7%、営業利益+8.3%、純利益は横ばいの予想。
売上高
99,300百万円
+23.9%営業利益
24,563百万円
+14.6%経常利益
26,700百万円
+17.5%親会社株主に帰属する当期純利益
18,566百万円
+16.4%売上高営業利益率
24.7%
△2.0pt(前期26.7%)ハイライト
- BizReach事業は売上高80,126百万円(前期比+16.8%)、管理部門経費配賦前の営業利益33,093百万円(同+16.5%)。プロフェッショナル人材の採用需要が堅調で、積極的な広告宣伝の結果、累計導入企業数は45,800社以上(前期末38,100社以上)、利用ヘッドハンター数は9,500人以上(同9,000人以上)、スカウト可能会員数は353万人以上(同307万人以上)と全指標が拡大
- HRMOS事業は売上高9,289百万円(同+78.2%)、管理部門経費配賦前の営業損失485百万円(前期769百万円の損失)と損失が縮小。ARRは10,337百万円(前年同期末比+177.0%)、利用中企業数は10,699社(同+341.9%)、ARPUは80,520円(同△37.3%)、12か月平均のChurn rateは0.48%。前年同期末比は、従来開示の一部サービス合算KPIとの比較で、Thinkings買収と2026年4月開始の「HRMOS労務」のテレビCMなどによる拡大を含む
- Incubationセグメント(物流DX「トラボックス」、M&A「M&Aサクシード」、脆弱性管理「yamory」、「Assured」等)は売上高5,488百万円(同+74.9%)、セグメント損失2,434百万円(前期1,691百万円の損失)と赤字が拡大。会社は、HR Techの利益の範囲内で人材投資・新規プロダクト開発・広告宣伝を行う方針で、当期は減損損失496百万円(Incubation)も特別損失に計上
- 売上総利益は88,558百万円(前期72,899百万円)で売上総利益率は89.2%(前期90.9%)、販管費は63,995百万円(前期51,456百万円、+24.4%)と売上の伸び(+23.9%)並みに増加。営業外収益に違約金収入1,809百万円(前期903百万円)を計上し、経常利益は営業利益を2,137百万円上回る。法人税等は7,474百万円(税負担率28.5%、前期29.2%)で、会社は「当期純利益の前年比増には賃上げ促進税制の効果を含む」と説明
- 【M&A】2025年10月1日に連結子会社のビズリーチがThinkings株式会社(採用管理システム「sonar ATS」など)の全株式を取得。取得対価は現金11,913百万円と条件付対価2,086百万円の合計13,999百万円で、のれん9,228百万円(10年償却)、顧客関連資産3,198百万円(14年償却)を計上。のれん残高は12,036百万円(前期末3,741百万円)、のれん償却額は1,639百万円(前期804百万円)。取得対価は今後変動する可能性がある
- 財政状態は、総資産122,396百万円(前期末比+26,990百万円)、自己資本比率70.3%(前期末70.5%)。現金及び預金は82,849百万円(同+10,069百万円)、契約負債は16,660百万円(同+4,534百万円)。営業CFは23,441百万円の収入、投資CFはThinkings取得(子会社株式の取得支出10,563百万円)を含め13,206百万円の支出、財務CFは192百万円の支出。配当は無配(来期予想も無配)
- 【要確認】2027年7月期の通期予想は、売上高119,850百万円(+20.7%)、営業利益26,600百万円(+8.3%)、経常利益27,945百万円(+4.7%)、純利益18,569百万円(+0.0%)、営業利益率は約22.2%(当社試算)。内訳の想定は、BizReach売上92,940百万円(+16.0%)、HRMOS売上12,600百万円(+35.6%)。営業利益は増える一方、純利益が横ばいとなる理由は短信に記載がなく、前期の純利益は賃上げ促進税制の効果を含むと記載されている点が背景の一つとみられるが未確認
財政状態
総資産
122,396百万円
純資産
86,823百万円
自己資本比率
70.3%
現金及び預金
82,849百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年7月期 通期予想 | 119,850百万円+20.7% | 26,600百万円+8.3% | 27,945百万円+4.7% | 18,569百万円+0.0% |
注目ポイント
BizReach事業が営業利益の中心で、導入企業・ヘッドハンター・会員の全指標が伸び、事業全体で2割を超える増収を続けている。営業利益率は約25%と高い水準を保つが、売上高の伸び(+23.9%)が営業利益の伸び(+14.6%)を上回っており、広告宣伝費や人員、買収に伴うのれん償却(前期比約2倍)などの費用が先行して増えている。
成長の重点はHRMOSにあり、売上は約8割増、赤字も縮小した。ただしARPU(1社当たり月額)が前年同期末比で約4割下がっており、利用企業数の拡大(同約4.4倍)が単価の低いサービスに広がった結果とみられる。新規事業のIncubationは赤字が拡大し、当期は減損も計上しており、投資の回収時期を見極める局面にある。
来期は売上+20.7%に対して営業利益+8.3%、純利益は横ばいの予想で、成長投資を優先して利益の伸びを抑える計画である。現金は828億円と厚く、自己資本比率も約70%と財務は堅いが、買収(Thinkings)の統合効果とHRMOSの収益化のペースを確認したい。