決算ノート
4441東証迷惑電話・迷惑SMS対策(セキュリティ)、法人向け電話DX(トビラフォン)

2026年10月期 第3四半期 決算サマリー

サマリー

迷惑電話・迷惑SMS対策サービスを通信キャリアや金融機関に提供するトビラシステムズの2026年10月期第3四半期累計(非連結、2025年11月〜2026年7月)は、法人向け電話DXのソリューション事業が売上高+79.0%と急伸して、 売上高が前年同期比27.1%増の26億36百万円となった。一方、採用を中心とした人的投資や新規事業開発で販管費が41.9%増え、営業利益は同0.6%減の7億55百万円、四半期純利益は同0.1%増の5億16百万円と横ばい。 通期予想(営業利益7億85百万円、△12.7%)は据え置きで、累計の営業利益はすでに通期予想の96.2%に達しており、第4四半期は利益がほとんど出ない計画となっている。設立20周年の記念配当(20円)を含む期末配当40円の予想に修正した。

売上高

2,636百万円

+27.1%

営業利益

755百万円

△0.6%

経常利益

771百万円

+1.0%

四半期純利益

516百万円

+0.1%

売上高営業利益率

28.6%

△8.0pt(前年同期36.6%、当社試算)

ハイライト

  • セグメント別は、セキュリティ事業が売上高1,497百万円(前年同期比+4.1%)、セグメント利益1,025百万円(同△1.6%)、ソリューション事業が売上高1,139百万円(同+79.0%)、セグメント利益321百万円(同+141.3%)。ソリューション事業は、カスタマーハラスメント対策の需要が続く「トビラフォン Biz」(2026年2月に小規模事業者向けの「Biz Lite」を追加)と、クラウド電話「トビラフォン Cloud」(FAX送受信機能を追加、2026年7月にJCOMと販売代理店契約)が伸び、当第3四半期会計期間の販売台数・新規契約ID数がいずれも過去最高。全社費用(報告セグメントに配賦しない費用)は591百万円(同+42.2%)
  • 収益の性格別では、サービス期間に応じて計上するストック収益が2,044百万円(前年同期1,675百万円、+22.0%)、納品・検収時に一括計上するフロー収益が592百万円(同399百万円、+48.4%)。セキュリティ事業のストック収益は1,429百万円(同+8.1%)、フロー収益は68百万円(同△41.9%)、ソリューション事業のストック収益は615百万円(同+73.7%)、フロー収益は524百万円(同+85.7%)。ストック収益の比率は77.5%(前年同期80.8%、当社試算)に低下した
  • セキュリティ事業の材料は、特殊詐欺被害の拡大(警察庁公表で2026年上半期の被害総額1,816.2億円、前年同期比+51.7%)と、政府による迷惑電話・迷惑SMS対策の強化。警察庁推奨アプリ「詐欺対策 by NTTタウンページ」の無料提供が2026年3月に始まり約100日で累計100万ダウンロード、KDDIの「Pontaパス」iOSアプリで2026年4月から当社データベースによるブロック機能が利用可能に、JCOMの「ケーブルプラス電話」でも2026年1月から無料提供され契約者が増加、2026年7月に「迷惑情報データベース Web API」の提供も開始した。一部の通信キャリアとは価格条件を引き上げて契約を更改した
  • 売上総利益は1,740百万円(前年同期1,454百万円)で売上総利益率は66.0%(同70.1%、当社試算)に低下、販管費は985百万円(同694百万円、+41.9%)。営業利益は755百万円(同760百万円)と横ばいで、営業利益率は28.6%(同36.6%)。会社は、中期経営計画2028の2年目として、採用を中心とした人的投資と新規事業開発への戦略的投資を継続していると説明。営業外収益は受取利息12百万円、有価証券利息10百万円(前年同期はそれぞれ3百万円)などで24百万円(同8百万円)、経常利益は771百万円。法人税等254百万円(負担率約33%)
  • 2026年7月に、クラウドPBX「INNOVERA」を展開するプロディライトと資本業務提携契約を締結し、クラウドPBX市場での販売拡大とサービス価値向上に取り組む。財政状態では、投資その他の資産が646百万円から1,094百万円(+448百万円)に増えているが、提携に伴う出資かどうかを含め、内訳は短信に記載がない(【要確認】)。あわせて、商品及び製品が39百万円から235百万円(+196百万円)、有形固定資産が99百万円から208百万円(+109百万円)に増えた
  • 財政状態は、総資産6,737百万円(前期末比+1,356百万円)、純資産3,070百万円、自己資本比率45.6%(前期末48.2%)。契約負債が2,216百万円から3,124百万円へ+908百万円増え、現金及び預金は4,302百万円(同+565百万円)。純資産は、四半期純利益516百万円と自己株式の処分146百万円(譲渡制限付株式162,400株、処分価額の総額204百万円)で増加し、配当金215百万円で減少。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成していない(減価償却費88百万円、のれん償却額49百万円)
  • 【要確認】通期予想(売上高3,366百万円+20.0%、営業利益785百万円△12.7%、経常利益796百万円△12.3%、純利益531百万円△15.1%、1株当たり52.58円)は2025年12月10日公表から変更なし。累計の進捗は売上高78.3%、営業利益96.2%、経常利益96.9%、純利益97.3%で、達成するなら第4四半期は売上高約730百万円に対し営業利益約30百万円、純利益約14百万円(当社試算)と、第3四半期累計までの月次水準を大きく下回る。第4四半期に費用が集中するとみられるが、短信に具体的な説明はない。配当予想は「配当予想の修正(設立20周年記念配当)」として、期末40円(普通配当20円、記念配当20円)に修正(前期は21.30円)。決算補足説明資料は「有」、決算説明会はオンライン配信で開催。中期経営計画2028の目標は2028年10月期に売上高60億円、営業利益17億円、純利益11億円

財政状態

総資産

6,737百万円

純資産

3,070百万円

自己資本比率

45.6%

現金及び預金

4,302百万円

次期業績予想

決算期売上高営業利益経常利益当期純利益
2026年10月期 通期予想(変更なし)3,366百万円(進捗78.3%)+20.0%785百万円(進捗96.2%)△12.7%796百万円(進捗96.9%)△12.3%531百万円(進捗97.3%)△15.1%

注目ポイント

売上は27%伸びたが、営業利益は前年並みにとどまった。伸びを牽引したのは法人向けのソリューション事業(売上+79.0%、セグメント利益2.4倍)で、セキュリティ事業(売上+4.1%)が横ばいのなか、事業の重心が移りつつある。一方で、人的投資などによる販管費の増加(+41.9%)が粗利の伸びを吸収し、営業利益率は36.6%から28.6%に低下した。

収益の質では、ストック収益の比率が約81%から約78%へ下がっている。ソリューション事業の機器販売(フロー収益)が急増したためで、成長の中身が「積み上がる収益」から「その場の販売」にやや寄っている点は、今後の推移を見たい。ストック収益そのものは+22%と伸びている。

通期予想は減益(営業利益△12.7%)で据え置かれているが、累計の営業利益はすでに96%に達している。会社が示す予想が保守的なのか、第4四半期に大きな費用が見込まれているのか、短信からは判断できない。記念配当を含む期末40円への配当予想の引き上げは、株主還元面での前向きな材料である。プロディライトとの資本業務提携の効果とあわせ、第4四半期の実績で確認したい。

出典:トビラシステムズ株式会社「2026年10月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」(2026年9月10日開示)

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