2027年1月期 中間期 決算サマリー
サマリー
デジタルサイネージ「CELDIS」やAI電力削減「AIrux」などのSaaS型サービスと、ホテル向けSTB製品などの受注型製品を手がけるトラース・オン・プロダクトの2027年1月期中間期(連結)は、 売上高1億69百万円、営業損失49百万円、親会社株主に帰属する中間純損失56百万円の赤字となった。前年同期は連結財務諸表を作成していないため、前年比は開示されていない。 会社は、前期の大手携帯キャリアショップへのCELDIS初期導入売上と大型開発案件の反動で減収と説明。同社は、2026年8月に取引先のジーエーピーから約2億41百万円の損害賠償請求訴訟を起こされており、 請求額は純資産(2億94百万円)の約8割に相当する。会社は請求に根拠がなく、業績への影響はないと考えている。
売上高
169百万円
営業損失赤字
△49百万円
経常損失赤字
△50百万円
親会社株主に帰属する中間純損失赤字
△56百万円
1株当たり中間純損失
△11.70円
訴訟の請求額(後発事象)
240百万円
ハイライト
- 前年同期の連結数値がないため前年比は開示されていない。売上高169百万円、売上総利益83百万円(売上総利益率49.2%、当社試算)、販管費133百万円で営業損失49百万円。営業外は支払利息1百万円などで経常損失51百万円、特別損失に固定資産除却損1.4百万円を計上し、税金等調整前中間純損失は51百万円、法人税等5百万円を加えた中間純損失は56百万円。会社は、前期のTRaaS事業での大手携帯キャリアショップへの初期導入売上と、テクニカルサービス事業の前期大型開発案件の反動で減収になったが、受注型Product事業は増収と説明
- セグメント別(セグメント利益は売上総利益ベース)は、TRaaS事業が売上高53百万円・利益26百万円、受注型Product事業が売上高80百万円・利益51百万円、テクニカルサービス事業が売上高36百万円・利益7百万円。TRaaSは、CELDISの大手携帯キャリアショップ約2,000店舗からの月額収益が本格化し、AI電力削減「AIrux8」はJA山梨厚生連の施設で2026年3月に導入が完了し月額収益の計上を開始。台湾Coretronic社との共同開発の球面型デジタルサイネージは2026年6月の展示会に初期サンプルを出展、2026年9月完成予定の第二次サンプルから本格営業を始める計画。流通小売向け「店舗の星」は東南アジア7か国の大手小売店向けにレビューアプリを2026年7月に提供開始
- 受注型Product事業は、ホテル向けSTB製品で、株式会社NTTイノベーティブデバイスへのSTB機器等の納品が完了して増収。STB端末価格がAI半導体需要で高騰し普及ペースの重石となったが、新たな価格水準の受容が徐々に進み、再成長の道筋がみえたとする。2025年8月に子会社化したアクスト東日本の飲食店向け製品は、進捗が概ね計画通りで、飲食店以外の業種からの受注が想定を上回っている。テクニカルサービス事業は、大型システム開発案件の終了で減収だが、エンジニア派遣は堅調
- 財政状態は、総資産464百万円(前期末比△100百万円)、純資産294百万円、自己資本比率63.2%(前期末62.0%)。受取手形、売掛金及び契約資産が126百万円から62百万円へ64百万円減少し、現金及び預金は279百万円から248百万円(△31百万円)に減った。買掛金△18百万円、長期借入金△16百万円。借入金の残高は長期借入金(1年内返済予定分を含む)で約139百万円(前期末約152百万円、当社試算)。のれんは62百万円
- 営業CFは5百万円の支出(売上債権の減少64百万円と減価償却費14百万円が、税金等調整前損失51百万円と仕入債務の減少18百万円などと相殺)。投資CFは無形固定資産の取得8百万円、有形固定資産の取得6百万円などで14百万円の支出、財務CFは長期借入金の返済13百万円の支出。現金及び現金同等物は248百万円(前期末279百万円)。中間期に売上債権の回収で現金が保たれた面が大きく、現金の水準は半期の営業赤字(49百万円)の約5倍にとどまる
- 【要確認・重要な後発事象】2026年8月7日に株式会社ジーエーピーが東京地方裁判所に提訴し、8月21日に訴状を受領した。経緯は、当社が2023年8月にジーエーピーの基幹システム開発を受託する基本契約を結び、約3か月ごとの準委任契約で作業と検収を進めていたところ、2026年1月に同社創業者の会長が亡くなった後、現経営陣から作業中断を求められ、2026年2月に開発が停止した。ジーエーピーは、検収済みの過去の開発作業費について、準委任契約の債務不履行に基づく損害賠償として240,757千円(弁護士費用相当額21,887千円を含む)と年3%の遅延損害金を請求している。会社は、全期間で業務完了報告への検収を経ており請求に根拠はなく棄却されると考え、現時点で連結業績への影響はないとしている。請求額は純資産294百万円の約82%、総資産の約52%、中間期の売上高の約1.4倍(当社試算)と規模が大きく、今後の進捗が注目される
- 【要確認】通期予想(売上高535百万円+10.3%、営業利益3百万円、経常利益1百万円、純損失△6百万円、1株当たり△1.36円)は2026年3月12日公表から変更なし。中間期の進捗は売上高31.7%で、下期に売上高約366百万円(上期の約2.2倍)、営業利益約53百万円(上期は49百万円の損失)が必要(当社試算)。会社は、月額課金型のSaaS事業への転換を進めるとしているが、下期の売上・利益の積み上げの根拠は短信に詳しくない。無配(来期予想も無配)。決算補足説明資料は「有」(同日開示)、決算説明会は動画配信のみ
財政状態
総資産
464百万円
純資産
294百万円
自己資本比率
63.2%
現金及び預金
248百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純損失 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年1月期 通期予想(変更なし) | 535百万円(進捗31.7%)+10.3% | 3百万円(中間期は△49百万円) | 1百万円 | △6百万円 |
注目ポイント
売上は年間ペース換算で3億円台と小さく、営業損失(49百万円)は売上の3割近い水準で、事業転換の途上にある小規模企業の決算である。会社は、単なる機器販売から月額課金のSaaSサービスへの転換を進めており、CELDISの約2,000店舗からの月額収益やAIruxの導入など、積み上がる収益の基盤づくりは進んでいるが、前期の一時的な大型売上の反動と、受注型製品・派遣の売上のブレが、この半期の数字を左右している。
最大の注意点は、後発事象の訴訟である。請求額は240百万円と純資産の約8割に相当し、仮に一部でも認められれば、財務に与える影響は小さくない。会社は請求に根拠がなく棄却されると考え、業績への影響はないとしているが、係争の帰趨は不確実で、開示を継続して追う必要がある。中間期末の現金は248百万円と、半期の営業赤字の約5倍にとどまっている。
通期予想は営業利益3百万円と、ほぼ損益トントンを見込むが、上期が49百万円の赤字であるため、下期に約53百万円の営業利益(売上高は上期の約2.2倍)が必要になる。球面型サイネージのOEM営業やSTB製品の回復が、下期の達成に間に合うかが焦点である。