決算ノート
7640東証複合書店「蔦屋書店」の運営、ゲーム・トレーディングカード、スポーツ、訪問看護、飲食

2026年10月期 第3四半期 決算サマリー

サマリー

「蔦屋書店」を展開するトップカルチャーの2026年10月期第3四半期累計(2025年11月〜2026年7月)は、2026年4月に事業承継した株式会社明文堂の寄与などで売上高が前年同期比10.3%増の146億17百万円となり、 営業損益は前年同期の221百万円の損失から133百万円の利益に黒字転換した。親会社株主に帰属する四半期純利益は16億62百万円(前年同期は407百万円の損失)と大幅に改善したが、 特別利益16.9億円(明文堂の事業承継に伴う負ののれん発生益7.4億円、関係会社株式売却益5.0億円、固定資産売却益4.4億円)が大半を占め、営業利益率は0.9%にとどまる。 通期予想は事業構成の変化で引き続き未定。

売上高

14,617百万円

+10.3%

営業利益黒字転換

133百万円

前年同期は△221百万円の損失(黒字転換)

経常利益黒字転換

103百万円

前年同期は△284百万円の損失(黒字転換)

親会社株主に帰属する四半期純利益黒字転換

1,662百万円

前年同期は△407百万円の損失(黒字転換)

特別利益

1,685百万円

前年同期はなし

売上高営業利益率

0.9%

前年同期は△1.7%(当社試算)

ハイライト

  • 売上高は、2026年4月1日付で吸収分割により事業承継した株式会社明文堂(富山・石川・埼玉の書店9店舗と外商部)が蔦屋書店事業に加わったことに加え、既存の子会社全社の増収も寄与して増えた。商品別は、書籍7,965百万円(前年同期比+5.3%)、特撰雑貨・文具2,398百万円(同+6.2%)、賃貸不動産収入424百万円(同+16.9%)、販売用CD248百万円(同+76.1%)、レンタル324百万円(同△14.3%)、販売用DVD67百万円(同△24.5%)、その他(買取大吉、アミューズ関連など)1,336百万円(前年同期745百万円)
  • セグメント別(セグメント間取引を含む)は、蔦屋書店事業が売上高13,107百万円(同+10.5%)、セグメント損失28百万円(前年同期は344百万円の損失)と赤字幅が縮小。ゲーム・トレーディングカード事業は売上高471百万円(同+26.2%)、利益63百万円(同+110.6%)、飲食事業は売上高886百万円(同+0.3%)、利益47百万円(同+54.4%)、訪問看護事業は売上高168百万円(同+9.3%)、利益16百万円(同+2.2%)、スポーツ関連事業は売上高202百万円(同+0.5%)、利益5百万円(同△70.4%)
  • 売上総利益は5,267百万円(前年同期4,636百万円)で売上総利益率は36.0%(同35.0%、当社試算)、販管費は5,134百万円(同4,858百万円、+5.7%)。会社は、買取大吉やふるいちトップブックスなどの新規事業の導入と店舗運営の効率化で人件費の増加を吸収したと説明。営業外では協賛金収入34百万円(同12百万円)を計上したが、支払利息が102百万円(同95百万円)あり、経常利益は営業利益を30百万円下回る103百万円
  • 【要確認】純利益の大半は特別利益による。特別利益は、負ののれん発生益743.6百万円(明文堂の事業承継で、承継した時価純資産が取得原価0円を上回ったため、資産1,920百万円・負債1,176百万円を受け入れて計上。取得原価の配分は暫定処理)、関係会社株式売却益499.6百万円(2026年6月26日に全株式を譲渡した株式会社メソッドカイザー、飲食事業24店舗)、固定資産売却益442.6百万円の計1,685.8百万円。特別損失は減損損失56.3百万円など計58.5百万円。特別損益の差引は約1,627百万円(当社試算)で、純利益1,662百万円にほぼ匹敵し、継続的な収益力とは分けて見る必要がある。固定資産の売却内容は短信に記載がなく、土地が1,398百万円から620百万円に減っている
  • 財政状態は、総資産17,425百万円(前期末比+2,632百万円)、純資産2,323百万円、自己資本比率13.0%(前期末4.9%)、1株当たり純資産8.58円(前期末は△91.91円)。純資産は純利益の計上で+1,550百万円増え、1株当たり純資産がマイナスだった前期末から改善した。商品が7,595百万円(同+1,346百万円)、買掛金が5,011百万円(同+1,589百万円)に増えた一方、短期借入金は4,400百万円(同△400百万円)、長期借入金は1年内返済予定分を含め約1,058百万円(同△551百万円)に減少。借入・リース債務は依然大きく、利益に対して財務の余力は限られる
  • 【重要な後発事象】2026年8月25日の取締役会書面決議に基づき、A種優先株式15,000株のうち、取得請求権の行使を受けて3,000株を普通株式1,758,152株を対価に、12,000株を金銭1,230.7百万円(取得先は日本政策投資銀行、株式会社DaI)を対価に取得し、8月31日に全株を消却。発行済普通株式総数は16,214,400株から17,972,552株(+10.8%)に増える。会社は、A種優先株式の将来の優先配当負担を解消しつつ、一部を普通株式に転換して自己資本を維持し、成長投資や株主還元を含む機動的な資本政策につなげると説明
  • 【要確認】A種優先株式の金銭対価1,230.7百万円は、2026年7月末の現金及び預金1,875百万円の約66%(当社試算)に相当するが、支払いの資金手当ては短信に記載がない。潜在株式調整後の1株当たり純利益は65.54円(潜在株式調整前106.47円)。優先株の消却でA種の優先配当(年8,000円/株、15,000株で年約120百万円、当社試算)はなくなる。B種優先株式は年1,000円/株の配当予想が残る。店舗数は、単体(蔦屋書店)が42店舗、グループ全体が82店舗(2026年7月31日時点)
  • 【通期予想は未定】2026年10月期の通期業績予想は、事業承継や株式譲渡で事業構成が大きく変化し、現時点で合理的な算定が困難なため、引き続き未定としている。算定が可能になった段階で速やかに公表するとしている。決算補足説明資料は「有」だが今回未添付、決算説明会はなし。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成していない(減価償却費350百万円、のれん償却額14百万円)

財政状態

総資産

17,425百万円

純資産

2,323百万円

自己資本比率

13.0%

現金及び預金

1,875百万円

次期業績予想

決算期業績予想
2026年10月期 通期予想未定(事業構成の変化で合理的な算定が困難なため)

注目ポイント

見かけの利益と実態の利益に大きな開きがある決算である。純利益は16億62百万円と前年の損失から大幅に改善したが、その大半は特別利益(明文堂の事業承継に伴う負ののれん発生益、メソッドカイザー株式の売却益、固定資産売却益、計約16.9億円)であり、営業利益は1億33百万円、営業利益率は0.9%にとどまる。営業黒字化そのものは、蔦屋書店事業の赤字縮小と、ゲーム・トレカ、飲食などの子会社の増益が支えた前進といえるが、規模はまだ小さい。

明文堂の承継とメソッドカイザーの譲渡で、事業構成が大きく変わった。売上は書籍・雑貨中心の蔦屋書店事業に厚みが増し、飲食事業は7月から一部が連結から外れる。会社が通期予想を「未定」としているのもこのためで、来期以降の姿を見通すには、承継した書店の改装・収益改善の進み具合を待つ必要がある。

財務面では、純利益の計上で自己資本比率が4.9%から13.0%に改善し、8月にはA種優先株式の取得・消却で優先配当の負担が解消される。ただし、金銭対価の12.3億円は7月末の現金の約3分の2に当たり、短信には資金手当ての説明がない。一方で普通株式は約1割増える。借入とリース債務の負担が重い財務構造は続いており、資金繰りと財務の再構築の進み方を、今後の開示で確認したい。

出典:株式会社トップカルチャー「2026年10月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年9月10日開示)

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