2027年4月期 第1四半期 決算サマリー
サマリー
自己組織化ペプチド技術を使った吸収性局所止血材「ピュアスタット」を日米欧で販売するスリー・ディー・マトリックスの2027年4月期第1四半期(2026年5〜7月)は、 米国の消化器内視鏡領域が牽引して売上高が前年同期比46.9%増の32億25百万円となり、営業利益は494百万円(前年同期9百万円)へ大幅に改善した。 一方、ユーロ円高で子会社貸付金に係る為替差損148百万円が発生し、前年同期に為替差益938百万円があった反動で、経常利益は同63.5%減の342百万円、純利益は同60.4%減の302百万円と減益となった。 営業利益が上振れた背景には、研究開発費や海外販管費の一部が第2四半期以降にずれたことがある。通期予想は据え置き。
売上高
3,225百万円
+46.9%営業利益
494百万円
+5,097.5%(前年同期9百万円)経常利益
342百万円
△63.5%親会社株主に帰属する四半期純利益
302百万円
△60.4%ハイライト
- エリア別の売上高は、米国2,135百万円(前年同期比+83.2%)、欧州586百万円(同+4.9%)、日本280百万円(同△12.8%)、その他223百万円(同+50.1%)。売上高は計画を上回り、売上総利益は2,582百万円(同+53.9%)。売上の約66%を米国が占める
- 米国は消化器内視鏡領域が成長を牽引し、当第1四半期に100件の新規口座を獲得(前期の四半期平均は88件)。米国で消化器内視鏡の手技を行う病院は約4,500と推計し、うち約700病院が継続使用。加えて病院グループ(IDN)や共同購買組織(GPO)との売買契約により、傘下の口座未開設の約1,000病院で採用審査なしに導入可能になっている。1施設当たりの受注本数は前年同期と同水準以上
- 欧州の売上増が+4.9%にとどまったのは、代理店での在庫調整で代理店向け販売額が12%減ったため。実際の市場への販売量は、英国・アイルランドで前年同期比+29%、耳鼻咽喉科領域でも+29%と高成長を維持。新領域の泌尿器科は、当四半期に新たに9病院で採用され、現在18病院で使用。日本は新規顧客獲得を進め計画は上回るが、前年同期比では減収
- 【要確認】営業利益が上振れた要因の一つは、当初予定していた海外の販売費及び一般管理費や研究開発費の一部が第2四半期以降の発生となったこと。1四半期の営業利益494百万円は通期予想(1,652百万円)の約30%に達するが、費用が後ずれしているため、下期にかけて費用が増える見込みで、この水準が続くとは限らない。研究開発費は249百万円、販管費は1,838百万円
- 経常利益が減益となった主因は為替。2026年4月末から主にユーロが円高に進み(1ユーロ187.36円→185.12円)、子会社貸付金(20百万ユーロ)等に係る為替差損148百万円が発生(前年同期は為替差益938百万円)。特別損失に減損損失2百万円を計上し、純利益は302百万円。営業利益ベースの改善と、為替による経常・純利益の悪化が逆方向を向いている
- 研究開発では、消化管の粘膜創傷治癒(欧州で2026年3月に体内粘膜組織全般への適用取得を目指す薬事申請を実施)、泌尿器領域(前立腺肥大手術の止血・放射線性膀胱炎)、扁桃摘出術後の疼痛軽減・止血に注力。新規ペプチド止血材は欧州でプレマーケティングを開始し、脳神経外科などで使用経験を蓄積中。米国では直腸粘膜炎治癒材として承認取得済み
- 財政状態は、総資産9,401百万円(前期末比△394百万円)、自己資本比率73.9%(前期末66.7%)。現金及び預金は1,693百万円(同△1,137百万円)に減少し、未払費用△322百万円、未払法人税等△506百万円の支払いが主因。棚卸資産は3,750百万円(同+604百万円)、売掛金は2,961百万円(同+229百万円)に増加
- 通期予想は2026年6月11日公表から修正なし。売上高13,422百万円(+23.3%)、営業利益1,652百万円(+23.7%)、経常利益1,640百万円(△58.7%)、当期純利益1,590百万円(△61.7%)。第1四半期の進捗は売上高24.0%、営業利益29.9%(当社試算)。配当は無配。決算補足説明資料は作成されているが未添付、決算説明会は動画配信のみ
財政状態
総資産
9,401百万円
純資産
7,217百万円
自己資本比率
73.9%
現金及び預金
1,693百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年4月期 通期予想(修正なし) | 13,422百万円(進捗24.0%)+23.3% | 1,652百万円(進捗29.9%)+23.7% | 1,640百万円△58.7% | 1,590百万円△61.7% |
注目ポイント
本業の勢いは強い。米国の新規口座獲得が四半期平均を上回るペースで進み、IDN・GPO経由で導入余地も広がっており、売上は前年同期比で5割近く伸びた。営業利益が前年同期の約50倍に膨らんだのは、売上総利益が増える一方、販管費の伸びが抑えられたためである。
ただし今回の営業利益には、費用の発生が第2四半期以降にずれたという一時的な要因が含まれている。会社は通期の営業利益を1,652百万円と据え置いており、第1四半期で約3割を稼いだ計算だが、後半にかけて研究開発費や海外販管費が増えるため、同じペースの利益が続くとは考えにくい。
もう一つの注意点は為替である。経常利益・純利益は、ユーロ建ての子会社貸付金に係る為替差損益で大きく振れる構造にあり、前年同期は為替差益938百万円が利益を押し上げていた。通期の経常利益・純利益予想が営業利益と逆に大幅減益(△58%〜△62%)となっているのは、前期に大きな為替差益があった反動である。営業利益(本業)と経常利益(為替を含む)を分けて見る必要がある。