決算ノート
3300東証賃貸管理(サブリース)、賃貸仲介、不動産売買(新築投資用マンション・中古リノベーション)、不動産DX

2026年6月期 決算サマリー

サマリー

賃貸管理(サブリース)を主力に、賃貸仲介と不動産売買を手がけるアンビションDXホールディングス(連結)の2026年6月期は、売上高が前期比3.4%増の541億31百万円、営業利益が4.5%増の41億24百万円だった。 一方、借入金の増加で支払利息が約1.7倍の5億64百万円に増え、経常利益は0.5%減の35億08百万円。さらに2026年9月1日に子会社DRAFTののれん減損2億38百万円などを特別損失に計上する訂正が開示され、親会社株主に帰属する当期純利益は13.0%減の20億45百万円となった(訂正前は1.6%減の23億12百万円)。2027年6月期は営業利益51億円(+23.6%)を予想する。

売上高

54,131百万円

+3.4%

営業利益

4,124百万円

+4.5%

経常利益

3,508百万円

△0.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

2,045百万円

△13.0%

賃貸DXプロパティマネジメント事業の営業利益

3,169百万円

+31.4%

売買DXインベスト事業の営業利益

3,629百万円

△5.3%

管理戸数

28,427戸

+3.9%(+1,073戸)

支払利息

564百万円

前期335百万円(+68.1%)

ハイライト

  • 【訂正反映】2026年8月13日の短信は、9月1日に「特別損失の計上」に伴い訂正された(数値データ訂正)。連結子会社の株式会社DRAFT(ライフライン事業)が、販路拡大に向けた人材採用等の先行投資で営業損失を計上していることを踏まえ、経営体制を一新し、事業計画を見直した結果、当初想定した収益計画の達成が見込みがたいとして、のれんの未償却残高の全額について減損損失238百万円を特別損失に計上した。あわせて同社に係る繰延税金資産の回収可能性を見直し、28百万円を取り崩した。いずれも非資金取引でキャッシュ・フローに影響はなく、売上高・営業利益・経常利益は訂正なし。この記事は訂正後の数値で記載している。訂正により、前回発表予想の純利益(2,776百万円、逆算)を731百万円(△26.3%)下回る実績となった
  • 売上高は541億31百万円(+3.4%)、売上総利益は109億67百万円(+3.0%)で、売上総利益率は20.3%(前期20.3%)と横ばい。販管費は68億42百万円(+2.1%)で、営業利益は41億24百万円(+4.5%)、営業利益率は7.6%(前期7.5%)。営業外費用は6億52百万円(前期4億49百万円)に増え、支払利息が5億64百万円(前期3億35百万円、+68.1%)、支払手数料が76百万円(同108百万円)。支払利息の増加額(+229百万円)が営業利益の増加額(+178百万円)を上回り、経常利益は35億08百万円(△0.5%)
  • 賃貸DXプロパティマネジメント事業(サブリース)は売上高236億56百万円(+9.3%)、営業利益31億69百万円(+31.4%)。管理戸数は28,427戸(前期比+1,073戸)、サブリース管理戸数は16,437戸(+816戸)、入居率は98.4%(前期末98.3%)。会社は、次世代管理システム「AMBITION Cloud」による生産性向上と、人材投資によるリーシング力の向上を挙げる。営業利益の増加額(+758百万円)が全社の営業利益の増加額(+178百万円)を上回り、全社増益の中心はこの事業(当社試算)
  • 売買DXインベスト事業は売上高279億16百万円(△0.5%)、営業利益36億29百万円(△5.3%)。会社は、販売用不動産の売却時期が計画より後ろ倒しになったと説明する。売却戸数はヴェリタス・インベストメント226戸(前期比△65戸)、当社インベスト部41戸(同△28戸)で、合計267戸(前期360戸、△25.8%、当社試算)。仕入れは予定どおり順調に推移した。同事業は自社開発の新築投資用デザイナーズマンション(ヴェリタス)と、分譲マンションのリノベーション販売(インベスト部)で構成する。賃貸DX賃貸仲介事業は売上高10億83百万円(+6.2%)、営業利益78百万円(+44.2%)で17店舗を展開。その他事業は売上高14億75百万円(△10.1%)、営業損失1億47百万円(前期は12百万円の利益)で、ライフライン事業(電気・ガス・ウォーターサーバー等の取次)の先行投資が要因。会社は同社について、事業の再構築を図る必要が生じたとして経営体制を見直したうえで再構築に取り組む。全社費用は26億13百万円(前期23億63百万円、+10.6%)
  • 特別利益は貸倒引当金戻入額43百万円、特別損失は減損損失238百万円と固定資産除却損0百万円の計238百万円(前期は貸倒引当金繰入額78百万円、事務所移転費用17百万円などで計99百万円)。税金等調整前当期純利益は33億13百万円(前期34億25百万円、△3.3%、訂正前35億51百万円)。法人税等は12億61百万円(負担率38.1%、前期31.3%、当社試算)で、減損は税負担が軽減されにくい構造のため負担率が上がったとみられる(【要確認】。短信に説明なし)。親会社株主に帰属する当期純利益は20億45百万円(△13.0%)、1株当たり当期純利益は286.59円(前期335.91円、訂正前323.98円)、ROEは22.6%(同32.5%)、包括利益は20億36百万円(△13.7%)
  • 財政状態は、総資産458億60百万円(前期末比+65億52百万円)、純資産97億70百万円(同+14億07百万円)、自己資本比率21.2%(前期末21.2%)。販売用不動産が+68億71百万円(210億19百万円)に増え、総資産の約46%(仕掛販売用不動産と合わせて約57%、当社試算)を占める。のれんは2億37百万円(前期末5億58百万円、△3億20百万円)に減った。現金及び預金は+10億18百万円(95億88百万円)。負債は360億90百万円(同+51億44百万円)で、短期借入金が+27億50百万円(102億68百万円)、1年内返済予定の長期借入金が+16億03百万円(60億78百万円)、長期借入金が+4億64百万円(136億45百万円)。借入金の合計は約300億円(前期末約252億円、社債を含む、当社試算)で、総資産の約65%。純資産は、純利益+2,045百万円、配当△748百万円で利益剰余金が+12億98百万円
  • キャッシュ・フローは訂正の影響を受けず、営業活動が5億40百万円の収入(前期16百万円)で、税引前利益33億13百万円、減損損失2億38百万円(非資金)、仕掛販売用不動産の減少+10億56百万円に対し、販売用不動産の増加△33億82百万円、利息の支払い△5億74百万円、法人税等の支払い△11億22百万円。投資活動は36億82百万円の支出(前期56億64百万円)で、有形固定資産の取得△34億94百万円が中心。財務活動は41億40百万円の収入で、長期借入れ+106億69百万円、長期借入金の返済△86億33百万円、短期借入金の純増+27億50百万円、配当△7億48百万円。現金及び現金同等物は95億02百万円。貸借対照表上の販売用不動産の増加(68億71百万円)と、キャッシュ・フロー上の増加(33億82百万円)の差は約35億円で、有形固定資産の取得(34億94百万円)とほぼ一致し、取得した不動産が販売用に振り替えられたとみられる(当社試算。短信に明記なし、【要確認】)
  • 【要確認】配当は、期末110円(前期105円=普通55円+記念50円)で、配当総額816百万円、配当性向38.4%(訂正前34.0%)。2027年6月期は112円を予想し、配当性向は32.0%。2027年6月期予想は変更なしで、売上高60,000百万円(+10.8%)、営業利益5,100百万円(+23.6%)、経常利益4,200百万円(+19.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,600百万円(+27.1%、訂正前は+12.4%)、1株当たり350.38円。純利益の増減率は、2026年6月期の実績が訂正されたため変わっただけで、予想額は同じ。会社は、保有する販売用不動産の売却を着実に進めて資産効率の回復に努めるとする。営業利益は+23.6%だが、経常利益は+19.7%と伸びが小さく、金利上昇(日本銀行の政策金利引き上げに言及)の影響をどう見込むかは短信に記載がない。DRAFTの減損の金額算定根拠(取得時期・のれんの残高推移)は短信・訂正開示のいずれにも記載がない

財政状態

総資産

45,860百万円

純資産

9,770百万円

自己資本比率

21.2%

現金及び現金同等物

9,502百万円

次期業績予想

決算期売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益
2027年6月期 通期予想60,000百万円+10.8%5,100百万円+23.6%4,200百万円+19.7%2,600百万円+27.1%

注目ポイント

本業(営業利益)は増益だが、金利負担と子会社ののれん減損で、経常・純利益は減益になった決算である。サブリースの賃貸DXプロパティマネジメント事業は営業利益が+31.4%と好調で、管理戸数と入居率も伸びている。一方、売買DXインベスト事業は販売用不動産の売却が計画より遅れ、売却戸数が約4分の3に減って営業利益が△5.3%となった。

8月13日の短信は9月1日に訂正され、ライフライン事業の子会社DRAFTののれん未償却残高2億38百万円の全額を減損し、繰延税金資産28百万円も取り崩した。この結果、純利益は訂正前の△1.6%から△13.0%(23億12百万円→20億45百万円)に変わった。非資金取引で営業利益・経常利益・キャッシュ・フローは変わらず、会社は事業基盤への影響は限定的としている。ただ、短信の開示から約2週間後に特別損失が追加された点と、先行投資がかさんだ子会社の再構築が今後の課題になる点は押さえておきたい。

バランスシートは売れ残りの分だけ膨らんだ。販売用不動産が約69億円増えて総資産の約46%を占め、その資金は借入金の増加(約48億円)で賄われた。支払利息は5億64百万円と前期の約1.7倍で、営業利益の伸びを食った。自己資本比率は21.2%と、不動産の在庫と借入が大きい構造は変わらない。2027年6月期は営業利益+23.6%を見込むが、そのカギは在庫の売却で、次の四半期以降の売却戸数、販売用不動産の残高、支払利息の推移を確認したい。

出典:株式会社アンビションDXホールディングス「2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年9月1日付で数値データ訂正)」(2026年8月13日開示)

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