2026年3月期 通期 決算サマリー
サマリー
鉛・銀などの製錬を手がける東邦亜鉛(連結)の2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)は、撤退した事業の売上がなくなった一方で金属価格の上昇が寄与し、売上高は前期比0.6%減の1,255億50百万円とほぼ横ばいだった。金・銀・ビスマスなど希少金属の相場上昇や亜鉛製錬の再編に伴う保有資産の売却で、営業利益は同19.5%増の67億22百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は47億82百万円(前期は14億58百万円の損失)と黒字に転じ、2月の予想を大きく上回った。会社は事業再生計画を進めているが、自己資本比率が13.8%と低いことなどから「継続企業の前提に関する重要事象等」を記載している。
売上高
125,550百万円
△0.6%営業利益
6,722百万円
+19.5%経常利益
5,678百万円
+53.9%親会社株主に帰属する当期純利益
4,782百万円
前期△1,458百万円製錬 セグメント利益
3,793百万円
自己資本比率
13.8%
前期末10.2%ハイライト
- 【重要事象】会社は、事業再生計画に基づき収益力の向上を進め黒字化したものの、自己資本比率が低い水準にあり、金・銀などの貴金属価格の変動による繰延ヘッジ損益が包括利益に与える影響も大きいとして、「継続企業の前提に関する重要事象等」を記載している。全取引金融機関と2025年3月から5年間の返済計画で合意し、三菱UFJ銀行と総額50億円の運転資金のバックアップ枠を設けているとして、継続企業の前提に関する注記は付いていない
- 売上高は125,550百万円(前期比△0.6%)、営業利益は6,722百万円(+19.5%)、経常利益は5,678百万円(+53.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,782百万円(前期は1,458百万円の損失)
- 原料鉱石の買鉱条件の悪化や鉛リサイクル原料の調達価格の高止まりが減益要因となったが、製品の販売数量の増加、金・銀・ビスマスなど希少金属の相場上昇、亜鉛製錬の再編に伴う保有資産の売却が利益を押し上げた
- 2月13日公表の予想(売上高123,000百万円、営業利益4,800百万円、純利益2,700百万円)を、営業利益で40.0%、純利益で77.1%上回った。セグメント利益(経常利益ベース)は製錬3,793百万円、金属リサイクル1,451百万円など
- 2024年12月に公表した事業再生計画のもと、不採算だった亜鉛製錬事業の再編と資源事業からの撤退を実行した。2025年4月からの5年間を事業再生期間と位置づける
- 財政状態は、総資産98,932百万円、純資産13,668百万円、自己資本比率13.8%。借入金の返済などで財務CFは10,809百万円の支出となり、現金及び現金同等物は11,133百万円(前期末20,979百万円)
- 2027年3月期の予想は売上高178,500百万円(+42.2%)、営業利益6,700百万円(△0.3%)、経常利益4,500百万円(△20.7%)、純利益3,450百万円(△27.9%)。決算説明資料では、前期の資産売却効果の反動や加工費(TC/RC)の悪化を見込む一方、EBITDAは80億円台を維持するとしている。配当は無配の予想
財政状態
総資産
98,932百万円
純資産
13,668百万円
自己資本比率
13.8%
現金及び現金同等物
11,133百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年3月期 通期予想 | 178,500百万円+42.2% | 6,700百万円△0.3% | 4,500百万円△20.7% | 3,450百万円△27.9% |
注目ポイント
事業再生計画の初年度は、黒字転換で着地した。不採算の亜鉛製錬を再編し、資源事業から撤退したうえで、金や銀などの価格上昇が鉛製錬の副産物の収益を押し上げた。亜鉛製錬の再編に伴う資産売却の利益も加わり、2月の予想を大きく上回った。
一方で、自己資本比率は13.8%と低く、会社は継続企業の前提に関する重要事象等を記載したままだ。金融機関との返済計画の合意や運転資金の枠を確保しており、当面の資金繰りに大きな不安はないとしている。
2027年3月期は、資産売却益の反動や鉱石の加工費の悪化で減益を見込む。金属相場に左右されない収益基盤を築き、自己資本を積み増せるかが再生の成否を分ける。