6820東証無線通信機器の開発・製造・販売(陸上業務用、アマチュア用、海上用、航空用、IP無線機など)
2026年3月期 通期 決算サマリー
サマリー
無線通信機器メーカーのアイコム(連結)の2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)は、国内の業務用無線機が堅調だった一方、米州とアジアの需要が回復せず、売上高が前期比1.4%減の369億59百万円、営業利益が同21.7%減の29億13百万円となった。訴訟和解金4億円の特別損失もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は同9.7%減の26億65百万円。業績は予想を上回り、期末配当を予想の35円から50円に増やした。新たな「中期経営計画2030」では2030年3月期に売上高430億円、営業利益率10%をめざす。
売上高
36,959百万円
△1.4%営業利益
2,913百万円
△21.7%経常利益
3,812百万円
△2.3%親会社株主に帰属する当期純利益
2,665百万円
△9.7%年間配当
75円
前期83円自己資本比率
89.2%
前期末91.2%ハイライト
- 売上高は36,959百万円(前期比△1.4%)、売上総利益は16,196百万円(△2.7%)。人件費や試験研究費の増加で販管費が355百万円増え、営業利益は2,913百万円(△21.7%)。為替差益428百万円で経常利益は3,812百万円(△2.3%)。訴訟和解金4億円を特別損失に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は2,665百万円(△9.7%)
- 予想(売上高36,000百万円、営業利益2,550百万円、純利益1,980百万円)はいずれも上回った
- 国内は13,525百万円(+8.2%)。業務用無線機と周辺機器の販売が堅調で、AI搭載のスマートフォン向けインカムアプリ「ICOM CONNECT」をリリースした。米州は製品在庫の調整や関税転嫁による物価上昇で11,311百万円(△6.9%)、アジア・オセアニアは5,510百万円(△15.8%)、欧州は6,611百万円(+5.3%)
- 財政状態は、総資産81,974百万円、純資産73,090百万円、自己資本比率89.2%。現金及び現金同等物は22,588百万円
- 配当は中間25円・期末50円の年75円(前期83円、配当性向40.4%)。第3四半期時点の予想(年60円)から期末を15円引き上げた。新たな株主還元方針は、年60円または連結配当性向40%のいずれか高い方を下限とする。2027年3月期は年87円を予想
- 「中期経営計画2030」(2027年3月期〜2030年3月期)では、2030年3月期に売上高430億円、営業利益43億円(営業利益率10%)、ROE5.0%以上、PBR1.0倍以上をめざす。前中期経営計画の売上高400億円・営業利益率10%は未達で、ROEは3.8%にとどまった。公共インフラ向け(MC-PTT/MCX)や防衛通信が売上を押し上げるとみている
- 2027年3月期の予想は売上高37,500百万円(+1.5%)、営業利益3,800百万円(+30.4%)、経常利益4,290百万円(+12.5%)、純利益3,100百万円(+16.3%)
財政状態
総資産
81,974百万円
純資産
73,090百万円
自己資本比率
89.2%
現金及び現金同等物
22,588百万円
次期業績予想
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年3月期 通期予想 | 37,500百万円+1.5% | 3,800百万円+30.4% | 4,290百万円+12.5% | 3,100百万円+16.3% |
注目ポイント
海外市場の不振で減収減益となったが、第3四半期時点の予想は上回って着地した。国内では業務用無線機や周辺機器を組み合わせたシステム販売、アプリによるストック型ビジネスの拡大が進み、海外の落ち込みを一部補った。
注目は株主還元と資本効率への姿勢の変化だ。自己資本比率が9割近くと資本が厚すぎることがROEの低さにつながっているとして、年60円か配当性向40%の高い方を下限とする配当方針を打ち出し、2027年3月期は年87円に増やす計画だ。
新中期経営計画では、公共インフラや防衛向けの通信で売上を伸ばし、営業利益率10%をめざす。前計画で届かなかった目標に再挑戦する形で、2027年3月期の3割の営業増益計画がその試金石になる。