2025年12月期 通期 決算サマリー
サマリー
半導体ウエハー洗浄装置を手がけるジェイ・イー・ティ(連結)は、特別調査委員会の調査で2022年12月期から2024年12月期にかけて複数の洗浄装置の売上計上時期を操作する会計不正が判明したとして、当初2月予定だった2025年12月期決算を5月29日に発表し、過年度の決算を訂正した。2025年12月期は、韓国・中国向け装置の立ち上げの延期などで売上高が前期比24.1%減の146億62百万円となり、低採算案件や棚卸評価損で営業損失14億93百万円(前期は10億87百万円の利益)、繰延税金資産の取り崩しも加わり親会社株主に帰属する当期純損失は23億36百万円となった。2026年12月期の予想は未定とし、無配とした。
売上高
14,662百万円
△24.1%営業利益赤字
△1,493百万円
前期1,087百万円経常利益赤字
△1,575百万円
前期960百万円親会社株主に帰属する当期純利益赤字
△2,336百万円
前期540百万円営業キャッシュ・フロー
3,080百万円
前期△1,390百万円自己資本比率
49.8%
前期末46.5%ハイライト
- 【会計不正】2026年2月に決算発表を延期して特別調査委員会を設置し、4月30日に調査報告書を受領した。調査の結果、2022年12月期から2024年12月期にかけて、複数の半導体洗浄装置の売上計上時期を操作する会計不正(意図的な財務諸表の虚偽表示)が判明した。会社は過年度の有価証券報告書などを訂正し、5月29日付で2024年12月期第3四半期、2025年12月期第1四半期・第3四半期の決算短信と、TOKYO PRO Market上場時の2023年の発行者情報を訂正した
- 売上高は14,662百万円(前期比△24.1%)。韓国メモリーメーカーと中国ファウンドリ向けの装置の立ち上げが来期にずれ込み、受注を見込んでいた装置も顧客の投資計画が延期された。中国市場で現地メーカーと競合して受注した案件や開発要素の多い新規案件など低採算の装置の計上、製品・部材の棚卸評価損で、営業損失1,493百万円(前期は1,087百万円の利益)、経常損失1,575百万円
- 繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額も加わり、親会社株主に帰属する当期純損失は2,336百万円(1株当たり△177.97円)
- 2026年1月30日公表の予想(売上高15,133百万円、営業損失1,878百万円、純損失2,775百万円)に対し、過年度訂正の影響で、売上高は装置1台分減って3.1%下回り、利益は収益性の高い装置が当期に計上されたことで予想を上回った
- 財政状態は、総資産19,512百万円(前期末比△6,513百万円)、純資産9,720百万円、自己資本比率49.8%(前期末46.5%)。棚卸資産の減少で営業CFは3,080百万円の収入となり、短期借入金の返済などで財務CFは2,778百万円の支出。現金及び現金同等物は2,013百万円
- 特別調査費用や過年度決算の訂正に伴う監査・外部委託費用など約440百万円を、2026年12月期第2四半期に特別損失として計上する予定(5月29日公表)
- 2026年12月期の業績予想は、過年度訂正の対応で第1四半期の決算発表ができていない状況にあり、中間期の決算発表時に開示する予定とした。配当は前期の年6円から無配となり、2026年12月期も無配を予想
財政状態
総資産
19,512百万円
純資産
9,720百万円
自己資本比率
49.8%
現金及び現金同等物
2,013百万円
注目ポイント
今回の決算で最も重いのは、業績の悪化よりも会計不正の判明だ。特別調査委員会の調査で、2022年から2024年にかけて、半導体洗浄装置の売上をどの期に計上するかを意図的に操作していたことが分かった。会社は過去の決算を訂正し、2025年12月期の決算発表も3か月余り遅れた。調査や訂正の費用として約4億40百万円の特別損失も発生する。
本業も厳しい。中国の成熟世代向け半導体投資の停滞で装置の立ち上げが延期され、売上は4分の1減った。中国で現地メーカーと競って受注した低採算の案件や棚卸評価損が重なり、営業赤字に転落した。一方で在庫の圧縮により営業キャッシュ・フローは30億円の黒字となり、借入金を返済した。
2026年12月期の予想は出されておらず、無配となった。AI向けの先端メモリー投資は続いているが、顧客の信頼回復と内部管理体制の立て直しが、受注の回復と並ぶ最大の課題になる。